メールのやり取りは今や普通で、お互いの制限を無くして、端的に用事を伝えることができます。メールやFAXを送った後から、届いているかと電話をする方もたまにお見かけしますが、心配性な性格は失敗も少なくのでこれはこれで有りでしょうね。

メールの文章に違和感を感じたり、ズレを感じたりすることがあります。最初は対面でお会いして良い感じ、波長が合うな、と思ってメールのやり取りをすると、ちょっぴりこっちの意図とズレることがあります。きっと良かれと思って行った愛情が、相手の受け止め方で「なんかズレているな〜。そうなんだけど・・・」、とモヤっとする違和感が残ってしまう行動は本当に残念です。

次のメールでモヤっと感が帳消しになる何かが生まれれば、振り出しに戻ることもできますが、また次のブレが発生してモヤっと感が積み重なっていくと、商談そのものの信頼に影響してしまうことがあります。

先方から2回目の面談をしたいので、都合の良い日を教えて欲しいと言うメールが届く、みたいな感じとしましょう。

「来週は細々と予定が入っているので、○月の○日以降で、御社が来社できる日の候補を5パターン出していただけますか?その日にちのどれかで面談を確定しますので、お手数ですがよろしくお願いします。」と返信すると、

「ありがとうございます。私の方は○月○日以降でしたらいつでも構いません。ご検討をよろしくお願いします。」で返ってくる。

質問したのに質問で返ってくる、結果私が答えを導いて決定することになります。きっと最後の答えは私が決定するので、何ら答えは変わらないだろうが、そのやり取りで次の商談に向き合う形が印象付けられるのは、とても残念でなりません。相手も良かれと思って十分な誠意を見せてくれたのだろうが、伝わる角度が違うと何と勿体無いことだろうと思います。

「経営者は絶えず忙しいものです。身体はスローでも、頭の中ではミツバチの巣箱があるように働きバチがブンブン飛び回って、絶えず猛スピードで働いています」

フル回転で考えている頭の中を、少しでも隙間を空けたいと思って、相手に答えを委ねているのに、その隙間に目掛けて質問が入ってくると更に考える回転数が増えます。オーバーヒートになる原因を作ってしまいます。これが違和感となって相手とのズレを感じてしまうようになります。何気ないことですがとても大事なことです。

では、どうすれば?と言うことですが、その時に役立つのがリスクマネジメント営業と言う思考の鍛錬方法です。

リスクは動くから発生するのであって、動かなければリスクは最小限にできます。同じように考えると先程のメールも、相手の意図をそのまま回答することが先ずは基本になります。質問と答えをイコールにする作業です。イコールとは相手もこちらも同じ立ち位置で、質問に対して答えただけですから何も生まれません。それが動かないこと、リスクが生まれないことです。これが最初に行うステップになり、相手はその答えに違和感はありませんから、意図がきちんと返されてきたと言うことが重要になります。

しかしそれだけでは高い評価は生まれません。あくまでも基本を作っただけですから、次に自分らしさの気配りを乗っけます。

「ご連絡ありがとうございます。それでは弊社の都合の良い日は、○月○日と・・・(5パターン)となります。尚、○月○日以降につきましても訪問が可能な日にちがございます。ご変更やご相談を承りますので、恐れ入りますが○月○日までにご連絡をいただければ、柔軟に対応させていただきますので、よろしくお願いします。」

みたいに基本とオプションをドッキングさせて提案することで、質問への回答と相手の状況が急に変わっても対応できると言う柔軟な姿勢を見せることで、距離が深まり信頼感と気配りを感じ取ってもらえます。

何事も最初はちょっとしたズレから始まります。そのズレを先ずは作らないことが一番ですね。次回はこのズレの例えで、朝の掃除の仕方をリスクマネジメント営業で考えてみたいと思います。

今日も一日、頑張っていきましょう!