日経新聞の2面と3面、興味津々の殺し文句のタイトルが毎日のように掲載されています。「こんな言葉をよく思い付いたもんだわ」と感心するばかりで、活字を読むだけで買いたくなる欲求に駆られます。

「闇の盾」

強烈な言葉の本が紹介されていました。著者の名前と会社名が書いてあります。”日本リスクコントロール”、これは読まんと駄目だろうと、Amazonでの購入かKindleか悩んだ結果、地元の本屋さんに探しに行くことにしました。一刻も早く読みたいという衝動に駆られて探してみたものの、3件目のお店で発見して買ってきました。そこからが私の悪い癖で、手にした瞬間に一息ついて読み出したのが昨日の夜からと、本丸まで行き着いていませんが、著者の寺尾文孝氏の強烈さは冒頭から読み取れます。彼と同じ匂いをする安藤 昇氏も頭に浮かびますが、どちらも現場の闇を知っている本物です。

仕事の依頼は全て口コミ、ホームページも持っていないし、宣伝もしない、電話番号も非公開だと言うから普通の仕事人ではないことは容易に判断できます。コンサル料は2000万円と破格の高さですが、コントロールを間違うと閻魔大王に会うことになってしまうので、対価としては妥当なのでしょう。結構分厚い本なので、飽き性の自分と戦って完読を制覇したいと思っています。

リスクマネジメントの世界では、リスクコントロールとリスクファイナンシングの2つを使って、リスクとなる危険を表に出ないように封じ込める対策を取ります。著者の寺尾氏はリスクが起こってしまったことに対しての対応、対策、世に出ないための封じ込め、ですのでクライシスマネジメントの方が近いかもしれません。いずれにせよ、リスクマネジメントもクライシスマネジメントも企業にとっては重要な経営手法と言えます。

損害保険の世界ではリスクファイナンシングが主な役割です。財務的な穴埋めを目的にしていますので、常に何かのリスクや事故例を相手に伝えて、その可能性が高いと相手が判断したら購入してくれる商売です。潜在的なリスクもあれば既に顕在化したもの、時代的リスクや流行リスクなど、会社の形や事業の形態が変わる度に、新しい成長リスクが生まれてきます。保険は常にリスクが生まれて後追いで販売されるものですから、最初に販売する保険はリスクや傾向が全く分かりませんから、保険料も割高になります。後発組は先行していた会社のデーターを解析して、より良い物にバージョンを上げて安価の商品を販売しますので、安売競争へと泥沼化していきます。

保険会社の価格競争が激化して安いと思って購入した保険で、リスクファイナンシングは達成します。保険料が安価なほど財務的には助かりますので、安心感を安価で買えたと思ってしまいがちです。しかし、これまで何回も言ってきたように、保険を買ってもリスクが減ることはありませんし、今と何ら変わることはありません。保険は財務の補填であって、未来を変える行動では無いからです。

「リスクコントロールで未来を変える」

寺尾氏のような究極のリスクを力技で押さえ込むことは一般的には困難です。長い職場経験や人脈があって達成することができる、誰にも真似できない技です。依頼者の盾となるリスクコントロールの究極といえますが、ここまでと言いませんが会社にもリスクコントロールの仕組みは必要です。究極までとはいかないまでも、リスクが生まれないように、リスクが生まれたあとに、この2面をコントロールする行動が可能になれば、会社は安定的な成長を目指すことができます。

リスクコントロールの元になる考え方や思考のレベルアップには研修では上達しません。1日セミナーに参加して理屈が分かったとしても行動で表現することは無理です。何かの目的に対して、その環境に身を置いた仮想空間を作り、実際の行動や会話で自分の失敗や迷いがどんな風に現実化してしまうのかを繰り返して行う鍛錬が必要です。繰り返しの回数が多いほど有事での対応に差がつきます。それでも実際の有事と仮想空間の鍛錬とでは大きな差が生まれますが、鍛錬の回数は自分の落ち着きさにも大きな効果をもたらします。

リスクコントロールは会社にとってとても重要ですが、このコントロールを教える方が少ないのも現実です。保険に携わる方はリスクファイナンシングができますから、リスクコントロールもできるはずです。価格競争に巻き込まれない経営として、これから増えて欲しいと思います。

今日も一日、頑張っていきましょう!