久しぶりに凄い商品に出会った。これぞ日本が誇る巧みの逸品と言って良いだろう。自動販売機で普通に買える、伊藤園の抹茶ペットボトルだ。
私はお茶をがぶ飲みしないで、ちょびちょび飲む方だ。拘っているのはお茶の味もさることながら、手に持った時の大きさと手に馴染むしっくり感だ。鞄に入れても邪魔にならない適度なこぶりの大きさが嬉しいからだ。そして最後の決め手はやっぱり味だ。各メーカーが独自の味を極めて、消費者に至福の時を与える拘りのお茶だ。
容量は190mlで値段も確か140円?(だと思う)と高い。オロナミンCの瓶をちょっとだけ大きくした感じだ。きっとお茶のペットボトルの世界では一番小さいと思う。
「しまった。間違った!」、自動販売機に手を突っ込んで、ペットボトルの裏を見てそう思った。お茶を買ったはずなのに透明だった。水?と思った。ラベルに貼ってある丁寧な飲み方見本を見ると、何やらキャップを一回ネジってから思いっきり振れと書いてある。パウダーインキャップという仕様らしく、水と抹茶の素が混ざって、淹れたてのような風味と味わいを醸し出す、冷たい抹茶に変身する。甘くない抹茶は私好みでとても美味しい。抹茶の世界に引き込まれていく。
どうやらキャップをねじると、抹茶の素と水の境にある蓋が外れて落ちる仕組みになっているようだ。おまけにその蓋は、パウダー状の素と水をかき混ぜるスプーンの役割をしているようで、振るとガラガラと音を立てながら勢いよく素と水が混ざって、風味豊かな抹茶を完成させる。ラムネのビー玉のように音がしてこれまた面白い。
手に馴染む大きさが心地よい。そして何よりも本物の抹茶をペットボトルで提供したいという、作り手の拘りが感じられる。その全てに一瞬で虜になった。140円の値段など私にはどうでも良い。伊藤園恐るべし。
世界は違えど物凄く参考になった。感動と驚きには価格競争は生まれないものだ。これが生き残るビジネスであり、正に特徴的価値の逸品である。営業の世界でまた一つお手本に出会えた。見て、触って、感じて、味わって、五感を楽しむことができた。140円で物事の見方が変わる。なんと安い授業料だろう。有難い。