昨日は企業価値協会の企画に参加して、会社の価値をアピールするための取材があった。現役の記者の目として、会社がどのように見えるか、見えているのか、それが通じるのかも興味もあったので、受けることにした。
頭の中を他人に伝えることは本当に難しいものだ。時には頭を付け替えて欲しい、と思うこともある。他人のことになれば、重箱の角を突つくくらい見えるものだが、こと自分のことになれば、冒頭から言葉の順序を忘れてしまうものだ。時系列とならずにお互いが混乱して、頭の中を半分も出せない時もある。
全く違う分野の人に伝えるとなれば骨が折れる。尚更、他人がやっていないとか、常識と真逆のことであれば、世の中に無いものを説明するには、相当のリスニング力と説明力がいるものだ。
「何となく良い感じだけど、何だかな〜」。できたものに違和感がありしっくり来ないことは大変残念のことだ。何故そうなる?と原因を考えてみると答えは明白だ。聞き手側のリスニング力とイメージ力の弱さだ。話し手側には原因は殆どないものだ。
営業も全く同じである。自分の商品の良さを分かってもらおうと、パンフレットを指差してベラベラ喋っても、リスニングの前座を行っていないと、次へのステップも期待できない。リスニングにはリスクマネジメントの応用を取り入れる必要がある。固定概念を脱却して、妄想に近い想定を頭に浮かべながら、相手の役に立つこと、先回りして「私もそう思う」と言ってもらえる価値観を言葉の中に散りばめながら合わせる必要ある。
そのためには独自の資料や他と違うことを分かってもらうための、目で見える様々な提供物が必要となる。それが相手にとっての尺度となり、自分の歴史や何を提供できるのかを伝える唯一の方法である。口先一本では、今の時代でトップにはなれない。
会社案内がある、と自信を持っている人もいるが会社や経営者の頭の中は10%も表現されていないものだ。印刷屋さんええヒアリング力とイメージ力に長けた方が少ないからだ。ホームページもしかり。ましてやパンフレットと見積書だけで勝負するにはいかんせん弱い。
頭の中を伝えることは難しい。聞き手と話しての双方が準備を怠らず、その人のために何ができるのかを、限られた時間の中で深掘りして、世の中に提供する仕事であることを信じるしかない。
ヘルメットを被ってお互いの脳を交換するようなSFチックな未来はまだ先である。人に伝えることの難しさを昨日も経験した日だった。まだまだ修行が足らないようだ。