島根県の奥出雲には、日本で最初に作られたアーチダムがあります。砂防と発電を目的に昭和29年に完成して、今では土木学会選奨の土木遺産に認定されています。全国各地で優れた遺産が日の目を見ずにひっそり立ちすくんでいる風景は、誇らしさより寂しさを感じてしまいます。

この辺りは砂鉄の採取が行われて、その砂鉄を原料として「たたら製鉄」がさかんに行われていました。クネクネとした川は幾度も洪水に見舞われて、多くの被害を引き起こしたとされています。その洪水の様子が出雲神話の八岐大蛇伝説の元になったとも言われています。石見神楽でも最後の大取りは八岐の大蛇が定番で、大蛇の首を切り落とすと尻尾から、天の村雲の剣(のちの草薙の剣)が出てきます。その刀は三種の神器の一つとし、熱田神宮に祀られていて、ダム一つを取っても様々な物語と繋がっていることは、面白い!の一言です。

物事の始まりを作った人や物には必ず、「最初」「初」と言う称号が与えられます。一番手と二番手では名誉も売上も天と地の差がありますから、最初の人になりたくて試行錯誤で必死に他に無い独自のものに挑戦していきます。○○で有名なコンサルタントと言う方には、他人には無い独自のやり方や考え方があって、それを教えてもらうことで会社が伸びたり、人が育っていきます。

しかし、最初に何かを作り出すことは並大抵のことではありません。奥出雲のアーチダムも本当に大丈夫か?と真偽も沢山あったことでしょう。今存在しないものを未来に完成させる訳ですから、普通では無いことへの挑戦となります。

「リスクマネジメントを保険に活かす」、会社にとっては素晴らしいことだと直感して、私が取り組み始めたのが2006年頃。当時は大手では当たり前だった考え方でしたが、中小企業向けの保険営業で、リスクマネジメントを実践している人は少なく、地方では皆無だったような気がします。知識と手法を学びに東京や大阪に行きましたが、大手企業のリスクマネージャーが多く、保険代理店の参加は少なかった記憶です。その少ない保険代理店と情報交換しても、リスクマネジメントを学んで帰ったけど、パッとしない、必要とされていない気がする、と私も同じようにモヤモヤした気持ちになっていました。

小さな会社にはリスクマネジメントを導入する効果も少ないと間違った考え方もしていました。ましてや少し大きな会社でも、内部留保でリスクを補う話になれば、保険自体が要らないから売れない、と言った逆効果で、何をやってんだか・・・、と自らを間違いの迷路に追い込む始末です。

私の初チャレンジはセミナー講師やビジネス本に書いてある、カッコいい感じとは全く違っていました。「やっぱり初って難しい」、と感じていましたが信念はあったと思います。

「できない理由があるからできないだけで、できないようにしている何かがあれば、できるようにするための何かを変えてやれば、何かができるようになる」

みたいな、呪文のような信念に挑戦してきたと思います。人と同じことをやっててもできるはずがありません。セミナー講師の言葉やビジネス本に書いてあるような文字を実践しても、作者とは環境が違うし、ましてやそもそもの学歴と職歴が全く違う訳ですから、自分でアレンジをしてそれを信じて行動するしか無いと思っています。それが実績となり、経験となり、自信と言う自分の言葉に変換されて、人にはできない強みや特徴が生まれるものだと思います。

しかし自分の信念を強みと言う特徴に変換することには莫大な時間が掛かります。私がその典型的な存在だったと思います。リスクマネジメントに挑戦して15年、八岐の大蛇伝説が生まれた、クネクネした川のように、あっちに行ったりこっちに行ったり、ぶつかって嘆いたり、とそんなことで時間が掛かり過ぎてしまいます。

コンサルタントと呼ばれる存在は、自分のハッキリしない、クネクネの頭の中を真っ直ぐに整理して、最短の道を教えてくれる存在だと思います。信念を諦めそうになった時には、コンサルタントに相談するのも一つの方法だと思います。

今の時代は時間との勝負です。「何に時間を使って、何に時間を使わない」、考え方と行動で信念の道の距離も変わってきます。

リスクマネジメント経営なら、時間を短縮するお手伝いができると信じています。

今日から仕事明け、頑張っていきましょう!