田舎を走ると昔がそのまま残っている場所があります。家の壁には、色っぽい水色の服を着て、蚊取り線香を宣伝する”ゆみかおる”の鉄看板や、小学校の陸上大会ではお世話になった、月星靴の電飾掲示板が懐かしさを物語っています。

色っぽい、ゆみかおるの写メは次回に紹介するとして、座敷たびを販売して145年の月星靴、現在はムーンスターに社名変更をしています。学校の上履きなど過酷で乱暴な扱いをされてもびくともしない耐久性は凄いの一言です。

座敷たびから地下足袋、今はオシャレで機能的な靴を手掛けて、海外にも進出するなど、日本が誇る職人の技を受け継ぐ老舗の会社です。

創業から145年、長きに渡って会社を存続されて来られた一つの理由は、時代の変化に柔軟に適用されてきたのだと感じます。座敷たびは日本固有の文化を象徴する履物で、生活必需品のようなものですから、黙っていてもお客はお店を訪れたはずです。鎖国が解かれて西洋文化の靴が登場すると、座敷たびの売れ行きには暗雲が立ち込めたはずです。尽かさず次の一手はゴム靴の生産を開始して、運動靴や機能性の高い靴を開発し続ける、探究心と職人技を武器に現在に至っています。

経営はたえず何かのリスクと戦っています。時代や景気、人やお金、取り引き先や海外事情、自然災害やコロナと言うパンデミックなど、些細なことで頭を悩ます小さな要因まで、ありとあらゆるリスクと戦って行かなければなりません。本当に大変なことです。その荒波を超えて、100年以上も会社を続けて行くことができる要因はなんだろう、と思っています。

経営者の資質だとか人柄だとか、情熱などの言葉も聞いたりします。保険の仕事では必ず最後の判断を決定していただくために経営者とお会いします。契約に至る至らない方も含めて相当多くの経営者にお会いしましたが、必ずしも経営者の人柄や考え方だけで会社が傾くこともありません。

人柄が良くて確かなものを作る職人さんだから商売が繁盛しているとは限りません。逆に二代目、三代目の親族経営者で会社への愛着が薄くても利益を毎年上げる会社もあります。

経営とは本当に難しいものです。100年を超える会社とは、100年存続できるための他人は持ちえない何かを持っているからなのでしょう。その何かと言う答えは、

今の仕事を100年続けないときっと見えて来ないでしょうね。何事も一夜にして成らず。今の仕事に向き合い続けて行く事しかありませんね。きっと何かに出会えることを願って。

今日も一日、頑張っていきましょう!