「人型ロボットが人間社会を変える」、ソフトバンクグループが未来を見据えて最先端の位置付けで開発してきたペッパーくんも、突然のリストラ宣告で驚いたことだろう。企業でもリースで購入できると聞いて、会社の玄関に置いて受付をさせようと考えたことがあったので、尚更寂しい気持ちがします。結局、毎月のリース料金の高さに負けて、人型ロボットの採用は書類先行で不採用になりました。

コロナで接客が減ったと言う、私には何とも都合の良い話に聞こえてしまいますが、街でペッパーくんの働き振りを見る機会もトンと無くなっていましたので、最先端と言いながら就職先が見つからず困っていたことでしょう。人間の姿を大事にして、親近感で勝負する人型ロボットを強みとするに日本と、形や格好なんてどうでも良いから実用的にミッションが達成されることを目的とする海外勢、ペッパーくんのリストラ話を聞くと人型ロボットの劣勢に、頑張れ日本!と応援したい気持ちです。

人型ロボットを一押しするには理由があります。きっと私の心が狭いことが原因で思ってしまうのでしょうが、時と場合ではロボットは素晴らしい接待をしてくれます。

例えば電話で予約をしたり、商品について質問したり、半ば不信感と怒りの中でどうしても相手と話さないといけない時には、「相手がペッパーくんだったらきっとイライラも抑えられるのに」と思うことがあります。話をしていたら相手の話方が段々気に触るようになって口論となったり、電話に出た人の最初の喋り方や話すトーンの違和感で、嫌な予感が横切ったりします。案の定、用事は解決したので良かったのですが、爽やかな気持ちで受話器を置きたい気持ちとは遠い感じです。相手はそれが一生懸命の接客だったとしても、接客相手としてきちんと応対してくれる期待感が何倍もありますから、期待外れではなくて、期待し過ぎと言うのが本当でしょう。

「これはこうであるべき」

と型にはまったことを期待する人ほど、そのギャップには敏感になります。私もその方向によく引っ張られますから、その時の電話先がペッパーくんだったら良いのに、と思います。

P:「お電話ありがとうございます。いつもお世話になっております。私は人型ロボットのペッパーです。お客様のご質問には迅速に、丁寧にお応えしますので、よろしくお願いします。では、ご質問をお願いします。」

客:「○○を予約したけど、まだ書類が届いてないけど、一体どうなっているんだ!いい加減な会社だなあ」

P:「いつもお世話になっております。それは大変失礼しました。では購入履歴をお調べしますので、お待ちください。お待たせしました。お客様の予約状況と予約操作記録をお調べしたところ、操作が間違っていますので、予約の途中で終了となっています。もう一度予約をお取りください」

客:「そんなことは絶対無いわ!ちゃんと予約をしたぞ」

P:「いつもお世話になっております。お調べしたところ、○○の時に□□の操作をしていらしゃいますので、貴方様の操作が間違っていますので予約は完了しておりません」

客:「そんなことは無いぞ。ちゃんと調べてくれ!」

P:「いつもお世話になっております。お調べしたところ、○○の時に□□の操作をしていらしゃいますので、貴方様の操作が間違っていますので予約は完了しておりません」

客:「さっきと同じことを言うな!それに何だその言い方は。お客だと思っているのかロボットの分際で」

P:「いつもお世話になっております。私はロボットですので感情はありません。どなたとお話ししても喋り方は変わりません。お調べしたところ、○○の時に□□の操作をしていらしゃいますので、貴方様の操作が間違っていますので予約は完了しておりません」

客:「いつも、いつもって何回言うんじゃ。お前じゃ話にならん。もうええわ!」

ガチャン!

P:「いつもお世話になっております。お電話ありがとうございました。ご不明な点がございましたら何なりとお申し付けください。この度はありがとうございました」

客:「もしもし、さっき電話した△△だけど、電話口に出た奴が話にならんからもう一回電話した。実は・・・」

P:「お電話ありがとうございます。いつもお世話になっております。私は人型ロボットのペッパーです。お客様のご質問には迅速に、丁寧にお応えしますので、よろしくお願いします。では、ご質問をお願いします。」

客:「またお前か!もうええわ!」

P:「いつもお世話になっております。お電話ありがとうございました。ご不明な点がございましたら何なりとお申し付けください。この度はありがとうございました」

その後お客は腹が立ちながらも予約をした時のことを思い出します。

「そう言えばあの時に丁度電話が掛かって来て、話ながらパソコンを触っていたから、最後まで入力をして無かったかもな〜。まあいいか相手はロボットだし、人じゃないから恨みもせんわ」

人に期待をし過ぎてしまうことは逆に自分に返ってくることもあります。ロボットだったら諦めが瞬時について腹の立ち方も短期間で終わります。聞かされた言葉がずっと耳に残ったり、何とかして負かしてやりたいと、変な感情が生まれることもありません。淡々とこなす作業には正確性が基本となっていますので、間違うことはありません。間違うのは人間の方ですからロボットから間違いを指摘されても、人間のように言葉に何らかの感情と態度を乗せて言いませんから、ある意味嫌味もなくスッキリします。おまけに間違っていてもロボットは責めることをしないので、こっちの気持ちの切り替えもスムーズです。

これからもっともっと、あらゆる形のロボットや最先端の道具と共存することになります。人は色々と面倒くさいものです。人工知能が急速に発達して、人の感情を読み取って話をするロボットも現れることでしょう。人とロボットの境界線が無くなることが、未来の社会かもしれません。

ペッパーくんは人と共存することを目的として社会に始めて投入された素晴らしいロボットです。生産停止が生産終了とならないように国も支援して欲しいものです。人とロボットが共存する未来でも、人と人が共存することが一番大切です。今日で半年があっという間に過ぎてしまいました。後半戦はコロナも終息して、待ちに待った触れ合う共存が出来そうな予感です。新しい世界になることを願いたいものです。

今日も一日、頑張っていきましょう!