昭和の親父はカメラを持って家族写真をカシャカシャ撮って、現像した写真の出来栄えに腕の良さを誇らしげに自慢していました。威厳を保つためには、写真家さんには必ず親父が出向いて写真をチェック、ボケてしまった出来損ないの写真は闇に葬る工夫もしながら、家族のために頑張っていました。

今やカメラは写るんです!からスマートフォンへ進化して、いつでも何処でも誰にでも綺麗に撮ることができます。過去に葬られた写真も修正技術を使って見事に復活できます。もはや、本当と嘘の境界線は破壊し、真実を見つけることが難しくなっています。

私も昭和に生まれた者として、昔からカメラには興味があって、今から15年前にどっぶり使って、時間とお金を注ぎ込んだ経験があります。

「時を超えるカメラ」

と言う本を偶然見つけて、このカメラの面白さに取り憑かました。カメラという背後霊を背中に背負って休みの日には研究を重ねて、お気に入りの一台を探しました。

「逆転の発想!縦の世界が風景を変える」1963年に発売されたオリンパスの一眼レフカメラ ペンFシリーズの最大の特徴は縦型の写真が撮れると言う画期的なもので、この縦型タイプは数種類しかなく、その中でもペンFは最高の一台と言われています。当時はフィルムを買うのが当たり前、沢山の思い出を残そうとするとフィルム代も馬鹿になりません。なんせ現像してみないと闇に葬られてしまうからです。

「だったら写真が縦に撮れれば、倍撮れるじゃん!」

と言ったかどうかは知りませんが、技術を極めてハーフ版という、1コマを半分に切るという大胆な発想を生み出しました。カメラを横に持っても縦型に撮れます。横に撮りたい時はカメラを縦に、全く逆の動作です。このハーフ版によって36枚取りが72枚写せるようになりました。価格も安くて手に乗るほど小さい、それでれっきとした一眼レフカメラですから、近距離撮影や望遠などのレンズ交換もできます。

当時は本当にアイデア満載って言うか、ユーザ目線って言うか素晴らしい発想もしています。オリンパスのカメラにライカのレンズを付けたらもっと面白い写真が出来るのに・・・、カメラマニアの技術者が製作したかは分かりませんが、カメラ本体と他社レンズの間に変換用の金具を取り付ける部品も発売して、無限大の楽しみを届けてくれました。カメラ好き好き人間は最高の時間を過ごしたと思います。先程言ったようにこのカメラの発売は私が生まれた時と同じ昭和40年前後です。高度経済成長の真っ只中で、一番楽しい時代と言われた頃です。世間が楽しく浮かれている時は凄いものを作り出す傾向があります。後から冷静に考えれば嘘みたいなことが現実に生み出されいます。昭和最後のバブル期も同じ現象が起こりました。

何故そんなことに稟議が通り、実際に生産されてこの世に出ることができたのか、理由があったはずです。私はこう考えます。

「面白いことを許す周りの雰囲気」

「ユーザーが面白いと言って好きになってくれる品物を作る寝ないでも作れる楽しさ」

「誰もが発想しなかったことを作っても応援できる会社の資金体力」

決められたことをやり遂げることが仕事です。決められたことが楽しい、面白いと思えば仕事に喜びを感じますが、文句を言いながら仕事をするのもつまらないものです。昭和のコマーシャルで高田純次が熱演した”5時から男”、後に続けて沢山の5時から男が生まれましたが、4時59分までは仕事に情熱をかけて面白さを追求していました。5時前男と5時から男、どっちもできる人はモテモテでしたね。

職場の環境は世間の環境と必ずしも一致しないでも良いと思います。面白い環境には新しい発想、逆転の発想が生まれます。それを応援して許す経営者が沢山出て来れば、第ニバブル期も夢ではありません。若者にも体験してもらいたいバブル。未来が楽しい!明るい!と思えることに。そして人生は変えられると思えることを知ってもらいたいですね。

今日も一日、頑張っていきましょう!