ミャンマーに会社を設立する時にお世話になった永杉豊氏が書かれた本が届きました。現地ではメディアなど様々な仕事に携わっていらっしゃいますので、タイトルの文字にも現実感が漂います。長年著名なミャンマーの方々に取材をされていますので永杉氏だから書ける、現実が表現されている一冊だと感じました。

ミャンマーでクーデターが起こってからFacebookでも投稿する機会を少なくしていましたが、今日は私が思ったミャンマーについて書きたいと思います。

2017年に知人の紹介でミャンマーを訪れて、街の活気には本当に驚きました。日本では朝起きて仕事に行って、ご飯を食べて寝る、この当たり前の空気の流れと全く違う人の熱量にびっくりしました。その中でもお金を持っていない若者の貪欲さの熱量は凄いです。お金が無ければ公園でデートすれば良いと、カップルが傘を広げて2人だけの世界に浸っています。昭和で見た風景の何十倍ものスケールの大きさで繰り広げられています。

若者は仏教をとても大事にします。パゴダ(寺院)へのお参りはもはや当たり前で、自分が生まれた曜日の仏像の前を集団で掃除をします。交代交代で若者がモップで床を磨いたり、ゴミを拾ったり、ひとりがモップを離すと誰かがそのモップを取って掃除をします。日本では見ない光景です。

日本語学校も積極的に見に行きました。ある学校では折角日本から来たのだからと言って、生徒の前でスピーチをする時間も与えられて日本の文化や生活の話をしました。日本語のレベルでN5はカタコトが喋れる程度、N1は漢字も書けて日本人と会話ができるレベル、大きな違いがあります。N4〜N5を勉強している生徒は、「日本に行ってみたい、お金を稼ぎたい」と言い、N1の生徒は、「日本で○○を学んで○○になりたいです。両親や兄弟にもお金を送ってあげたいし」と言います。目的が違うにせよ考え方をしっかり持っています。日本とはそれほど魅力に溢れた国として見ています。だからこそ、日本の立ち位置を国軍や国民にもしっかりと伝えないと、「あの時に日本は何もしてくれなかった。○○の国が良い」って言うことになったら、本当に残念です。ミャンマーの国民は日本人以上に日本に期待しています。期待に応える動きや発言でミャンマーとの友好もビジネスも大きく変わることができる分岐点だと感じています。

外国が不慣れなせいで、危険な冒険には挑戦しませんが、色々なことを現地の人から助けてもらいました。現地の日系企業に訪問したら、移転していて場所が違うと言う。場所を教えられても、それを英語かミャンマー語に変換する力は私にありませんから、どうしようかと相手に相談したら、

「歩いている人に声を掛けて、電話機を渡してもらえれば話をします。大丈夫ですよ。ミャンマー人は優しいので」

なんとも凄いことを言ってきます。「移転したことを伝えなかったのは、あんたなんだから迎えに来てよ」と思いましたが、なんとかするしかありません。営業の飛び込みみたいなもんですが、ファーストアクションがなんたって怪しい。人を呼び止めて、いきなり私の携帯電話を耳に当てろ!って言うゼスチャーなんで勇気も根性もいりますが、2人目のごっつい身体の男性が渡した携帯電話で相手と話してくれてようやく安堵しました。その男性はタクシーも拾ってくれて行き先と、タクシー代も交渉してくれて日本円で100円渡せば良いとゼスチャーで教えてくれました。お礼もろくにしなかったことを後で後悔しました。

電車を見たり、乗ることも大好きですから、ローカル汽車に挑戦した時のことです。何となくの雰囲気で切符売り場に行って、環状線一周の切符を頂戴と言って指を差してお金を渡しても駄目だと言って返されます。何が悪いのか全くわからずバタバタしていたら、横から大学生のような男性が、私がカウンターの前に出してあった財布の中身を探してお金を払ってくれました。初めは泥棒かと思っていましたが、身なりがちゃんとしているので違いは分かります。なんやら差し出したお金が大き過ぎて釣り銭が無い、と言っているようです。ありがとう若者よ。

今度は乗る場所が分からないので、二、三人で駅で座っているおじさんに切符を見せるとホームは向こう側だと指で示してくれます。サンキュー!と言って向こうへ行く登り階段の方向へ歩こうとすると、「そこじゃ無い!」と言って止められて、あっちに行けと、線路を指指してそこを渡ったら近いと教えてくれます。近鉄の駅員さんをしていたのでレールを歩くことにはビックリしませんが、普通ならビビるでしょう、と思いながらもおじさんに手を挙げると手を挙げて返してくれます。電車が来なくてホッとします。

本当にミャンマーと言う国は人と人との距離が近い、相手を知っている、知らないの分け隔てなく相手をしてくれる文化が大好きになりました。パゴダにお参りする姿も好きです。今は不安定な時期ですが、いつかはきっと両国にとって良い関係を築ける時が来るでしょう。期待して待ちたいと思っています。

今日も一日、頑張っていきましょう!