浜田市金城町で売っている田舎饅頭、名前もズバリ「金城まんじゅう」、そのままです。同じ町内で美人湯で有名な美又温泉では、色も形も極似の美又饅頭(饅頭が漢字?ひらがな?微妙です)があります。歴史は美又饅頭が古く、お風呂に入って車で帰りながら家族で饅頭を食べるのが、両親の定番ルーティンでした。

一方の金城まんじゅうは、美又饅頭よりずっと新しいお店ですが、同じ地域の人と言うこともあって美又饅頭以上の親しみと、皮の柔らかさやあんこのちょうど良さが抜群で、一気に5個は口に入る美味しさで、私のお土産定番になっています。

田舎饅頭と言われるこの形をした饅頭は全国にあるようで、出張に行くと売っているお店を見かけることがあります。何となく気が向いたら買って帰って食べ比べをしますが、地元の贔屓が抜けなくて公平な審査にならず、大体が金城まんじゅうの勝利で終わります。

なんたって午前中に買いに行くと、作りたてが伝わる温かさと皮の柔らかさが倍増して、更に美味しい。おまけに、この店には金城まんじゅうしかありません。迷うこともなく、数量の違いをお店の人に伝えると、奥の方で一気に箱に入れて、さっと出てくるので、抜群に早い。お店に入って10分も掛からずに、入店→注文→箱詰め→支払い→車でスタートが実行できるので、せっかちな私にとってはノンストレスのお店です。

・やりとりにストレスが無い

・分かりやすい

・早い

・強い看板商品がある

・接客が良い

・安心感がある・変わらない味やスタイル

・シンプルに拘り続けている

商売の基本をおさえて、毎日きっちりやっている所が凄いところです。お店はとても小さく5人も入ったら肩がぶつかる程で、ご夫婦で経営をされています。きっとこのご夫婦は戦略と言うカッコよくて難しい漢字を使わずに、

「こんなお店だったら喜ばれるな〜。ここまでしか出来ないから、これで一生懸命にやろう」

と思った形こそが商売の基本と合致したのだと感じます。お客さんのことを思えば思うほど、あれも大事これも大事、あれもあった方が絶対に良い。どんどん提案が肥大化していき、私が良く言う言葉で、

「てんこ盛り商売」

になってしまいます。フル装備の提案は凄く良くなった気がします。相手に物事や仕組みを話す時に、もっと分かってもらいたい、もっと頑張ってもらいたい、と言う思いが強ければ強いほどてんこ盛りの提案となって、シンプルから遠ざかり、”鋭さ”が無くなっていきます。世に言う、

「鋭さを無くして埋もれてしまう」

現象です。シンプルを形成した鋭さを作ることは単純ではありません。凄く難しいと感じています。そこには“覚悟”がいるからです。あれやこれやと商材があれば、どれかを言えば何かが引っ掛かる可能性があります。底引き漁船で網を広範囲に広げて海底を引きずれば何の小魚が引っ掛かりますが、一本釣りは卓越した技と仕掛けを作らないと、本マグロは釣れません。

保険と言う商売も同じで時代のリスクに沿った特約が生まれると、今に合致しているので売れやすくなります。相手も興味があって敏感だからです。それは時代で売れただけで、長続きするものではありません、一種のブームです。

商売にブームは必要です。しかしブームと言うソフト以上に、商売を下支えするOS(オペレーションシステム)が必要です。そのOSとは年月が経っても変わらない形、商売を続けて行こうと思う理念や理想です。それがシンプルであればある程人に伝わり、自分の強さと拘りとなって商売や仕事が回り出します。シンプルにすることには勇気がいります。直ぐには出来ないかもしれませんし、シンプルにすることさえ出来ない事情や無理な場合があります。しかしシンプルは相手に最も強い拘りが伝わり、相手の記憶に残るものだと思います。

「シンプルを達成するには、何かを捨てる勇気がいる」

地元で愛される田舎饅頭、食べ歩きの週末をお楽しみくださいませ。