外資系の損害保険会社に研修生として入社して1年後、錦糸町にある保険会社の本社ビルに行ったことあります。「本社の人って、この大きなビルで働いているんだ」、という私の先入観だったのか、優秀な方、お洒落さんの宝庫だと思い込んでいました。

お見晴らしの良い食堂では、カッコいい女性は一人で食事をとりながら雑誌を読んでいます。それが英語の新聞だったら、絶対に近づけない人と、思い込むほどのオーラで出ています。島根から出てきた田舎者が、見晴らしの良い窓ぎわに陣取って、外を見ながら高いだの、遠くが見えるなど、ソワソワしていた様子を見てどう思ったのでしょう。今になれば、地方新聞の山陰中央新報を片手に声を掛ければ良かったと思います。

廊下では、今から出掛ける様子の2人の営業マン。ビシッとしたスーツに自慢の鞄と靴。顔はそこそこでもきっちりと、まとめあげる努力は他人でも分かります。自信が伝わり彼ら独自の美学が伝わるカッコ良さは、営業数字を積み上げてきた歴史の顔です。

オンラインでの営業を取り入れる会社が増えていますが、対面と非対面は何ら変わらない、むしろ非対面こそ営業手腕を問われること、軽んじてはいけない、と思っています。

対面だと多少の容姿の乱れや言葉遣い、雑な仕草でも、雰囲気と場を味方に言葉でカバーすることができます。昔から知っているとか、誰々さんの紹介だから、何処何処の出身だから、とか場を作る作業をお互いが作ってい行こう、という歩み寄りが自然と生まれるものです。

しかし、非対面は場を作ることができません。「なんかもう良いや・・・」と心の中で思い、退席ボタンをクッリクすれば相手は手の届かない場所に行ってしまいます。

提案する側、発信する側には、”場を作って提供する”ことがオンライン営業では重要になります。発信する側には、対面営業と同じように身なりのカッコ良さと言葉の美しさが必要です。スムーズな進行と、途切れないための用意周到の心掛けこそ、唯一無二の信頼の証です。

画面の向こう側の世界。繋ぐための場をどのように作っていくのか。オンライン営業の課題のような気がします。