昨日は3年間お世話になった、保険会社の支店長の送別会を開いた。島根県はコロナ禍でも感染者が少なく、知事は9人以下の飲食なら許容範囲内として、「できるだけ行ってください」と語るほどだ。

3年間はあっと言う間だった。歳を取ると時間の流れは2倍や3倍に感じて、色々なことが懐かしく思う。

立場も違うので、相思相愛と言う色恋では無かったが、ビジネスには真剣に向き合い、お客さんのために良い答えを出し続けてくれた。きっと私がぐうの音も出ないくらい理屈をつけて語るので、本心は腹が立っていたかもしれないが大人の対応をしてくれた。有難い3年間だったし、感謝をしている。それに私と違って常に冷静に物事を語る方だった。

三猿の一つに「見ざる(見猿)」という人生の教えを解いたことわざがある。「人の欠点は見ないようにしましょう。良い所に目を向けて!」と言う感じだろうか。

言いたいこと言ったり、語ったする最後の宴だからこそ、口も滑らかになり、初めて気がつくこともある。その人が歩んできた3年間が見えたりする。

私のことや人の悪い所は口にせず、良い所を見ようとしてくれる方だった。だから支店では人気者で、一緒に働いた支店内のスタッフは口々に淋しいと言っていた。とても羨ましい光景だった。ビジネスでは負け無かったが、年下の見猿支店長の人気には勝てなかった。

悪い所に目をつけて注意するのは簡単だ。一度でも気に掛かると、そこがクロージングアップされて紐付いてくる。そうなると悪い所が芋づる式に見えてくる。もはやそれしか見えない思考になって、その人に良い所は打ち消されてしまう。

SWOT分析という物事の強弱を図るビジネス手法がある。強みと弱みを見つけて最適化を図る方法だ。理に叶った手法で正しい分析方法だ。

偏った見方をする私にとっては、マイナスの弱点を0地点に戻すことは大仕事だと思っている。そこからプラスに転じる行いをすることは更に大変だ。人は直ぐに変われない、脳と心と身体は別ものである。

見猿の考え方は私のマトリクス分析に似ている。強みだけを見て弱みは見ない。強みに順位をつけてマトリクスで立ち位置と領域を洗い出す。競合の領域に立っているなら、何かを絡めたり、プラスオンで別の何かを作り出していく。競合がいない、独自性の世界が強く大きいほど、弱みは打ち消されて弱点が小さくなる。強みを強化する方がモチベーションも上がり、更なるやる気スイッチのボタンが押しやすいからだ。何よりも弱い所を探られる気持ちは、真向きな言葉が出にくいと思っている。痛い腹を触られたら余計痛くなる。

見猿の支店長から置き土産をもらったようだ。置き土産を返す日が訪れるまで頑張らねば。