中学校の時に面白いデートコースが流行っていました。田舎でしかできない、いやいや生まれ育った金城町ならではの、「トンネルデート」です。全長1633mもある幻の鉄道跡レガシーを、懐中電灯を持ってただ歩いて往復するだけのデートです。
※現在は立ち入り禁止となっています
大体の女の子は怖がりますが、そこは押しの一手で誘います。出口がぼんやり見えるくらいの遠い遠い道のり、怖さとドキドキが入り混じった思い出のデートでした。
なんせ怖い。真っ暗で懐中電灯で自分の影だけで女の子は叫ぶ。「ガサガサ」と何処からともなく音がしたら断末魔の声で叫ぶ。自分が強者になった気分で面白い。手を繋いでいた距離も段々短くなって身体が接触してきます。「よしよし」と心の中では大興奮していました。
しばらくすると、遠い出口の辺りでゆらゆらと揺れる灯りが見えてきました。「なんだろうね?」会話して歩くと段々その灯りが人魂のように見えてきました。止まって様子を見ていたら人影らしい影と「ジャリ!ジャリ!」とトンネルの中で高い音が響いてきます。
女の子は怖さの限界に達して、「もう帰ろうよ!」を連発します。私も結構限界です。格好をつけたい中学2年生の男の子でしたが、怖いものは怖いです。Uターンしてスタート地点まで猛ダッシュです。私は陸上部の短距離選手で足が速い。繋いでいた手が離れそうになります。心の中では「早よう走れや!」と思っていましたが、そんなことを言ったらスタート地点で別れ話になってしまいます。引っ張るように女の子を連れて帰って来ました。今思うとこれを、”足手まとい”といって放っとくやつですよね。
数十分経つとトンネルから三年生の先輩カップルが出て来ました。同じようにデートをしていたことを知りました。女の子の先輩が冗談を言ってきます、「髙橋くんも案外怖がりなんでね」と。2人の先輩のためにデートが台無しだわ、と思ったほどです。格好をつけたいし、それに私の計画では、密着デートが1633m×2倍できた筈なのに・・・。
島根県浜田市からと金城町には、幻の広浜鉄道跡のレガシーがあります。浜田市から広島まで汽車を走らせる計画がありました。昭和8年に着工されて、ほぼ完成した昭和15年に戦争で中断されました。戦後に再開されましたが国鉄の赤字の影響でまたストップします。その後、地元の政治家はこの鉄道を再開させようと地元住民に票をお願いします。
再開の目処が立つ訳が無いと思っていた反対派とで、市議や町議の間で紛争が勃発しました。まだ幼なかったですが、商売をしていた父親もどっちかで動いてたのでは?と思ったりします。まさしく庶民にとって便利となる鉄道という道具を利用した、政治家に翻弄された街だったのかも知れません。
先生と呼ばれる職業があります。政治家を筆致に、学校の先生、博士、教授、士業やコンサルタント、何かを提供するコンサルティング、身近な所では、花道や茶道、ゴルフを教えてくれる人もある意味先生かも知れません。
共通することは、「その人が発する言葉を信じて何かを変えたい」と願っていることに責任持って対処しなくてはいけないことだと思います。先生は未来がどうなるか、ある程度予測がつきます。これが商売のネタであり、お金を稼ぐ元になり、先生と呼ばれる理由になります。
どんな商売でもきっと同じで、自分が紹介する品物や言葉には偽りが無く、相手が良くなるためのきっかけを作ってあげることが大事だと思います。何から何まで一緒に行動することはできません。言葉を使って仕組みを提供することで、先生と呼ばれる称号を貰う資格が生まれる、そうなければいけないと私は思っています。
先生やコンサルタントとは、新しいことに挑戦したい、迷子になった、迷路に入って抜け出せない経営者の最後の砦です。社長を利用するダークサイドに堕ちた政治家みたいにならないように、心清らかでいたいものです。
4月の土曜日は「幻の広浜線レガシーシリーズ」をお届けしたいと思います。次週もお楽しみください。