心躍るチョコレートと出会い、値段も見ずに買ったことがあります。オレンジや干し葡萄にピーナッツと、ゴロゴロした物体が数種類そのまま乗っかっています。食べた時のイメージは、「きっと美味しい!」。自然とそう思える印象が形から匂い立ちます。マルチな果物が乗っかったチョコレート、見た目のコラボレーションがとても面白い。期待通りの美味さとゴージャス感で、満足度はとても高いチョコレートでした。
この”色々”というキーワード、新聞でもマルチな働き方を希望する、「マルチワーカー」なる存在が増えつつあるようです。一つの仕事に縛られず、複数の会社を掛け持ちしながら給料を手にすることができます。
島根県の県庁所在地から車とフェリーを乗り継いで、3時間以上も掛かる海士町に、マルチワーカーとして働く29歳の男性が移住しているという新聞記事を読みました。
第一産業を学びたいと、東京からIターンで海士町で働いています。3月までは漁師の仕事で海に出ますが、4月からは陸に上がって、水産物を加工するセンターで働きます。3ヶ月ごとに色々な職場で働く、まさしく場所を点々と移動して、色々な経験と感性を磨く、マルチな働き方といえます。
以前Facebookでも紹介しましたがマスクアプリの開発者である、台湾IT大臣のオードリー・タンさんも、「これからは一つの仕事に縛られず、多様化した働き方が社会に浸透していく」、と語っています。正にマルチワーカーという存在の方々だと思います。
マルチワーカーという考え方は、私も共感しています。職場を変わるということはできませんが、複数ラインの仕事をスタッフに任せることは、とても良いことだと思います。同じ仕事の繰り返しはマンネリ化に落ち入りやすくなり、新しい発見で改善しよう、という気持ちを低下させてしまいます。そんな面倒なことをしなくても、現状でトラブルはなく、普通に回っているからです。安定したい、いつもの普通の仕事を守りたいと思ってしまうからです。
それでは日々の改善は生まれません。職種の違う人間がその中に入り込むことで、一旦は混乱も生じるかも分かりませんが、新しい出来事が生まれる可能性もある訳です。
例えば、営業が本業で帰社後はIT担当として、ホームページを管理する。経理をしながら、営業マンに付いて行ってお客様の受付窓口になるための挨拶紹介に出向く。モノを製造する工場で働く人が、市場調査員として街を歩く。とか。
知らないことはリスクです。でもリスクは将来の可能性でもあります。新しい挑戦にこそ、働き甲斐と面白さがあり、そのリスクを拒むものは、いつかは淘汰されていくのでは?と思ったりします。
しかし、そうは言ってもマルチワーカーは上部だけの事情で、物事が全て分かった!と勘違いする可能性も否定できません。
「石の上にも三年」
職人の世界に留まらず新入生の掟、常識とされた言葉です。「何も分からなくて良いから見ていなさい。その内分かってくるから」確かにその通りで、一年も経てばある程度のことが分かり、自分で回すことができます。
でも、一年後の未来を入社間もない社員がイメージすることは難しいことでしょう。「イメージが描けるように言ってください」と問いかけてくるでしょう。
「そんなもん今は分からんでイイ。その内分かる」と、反論くるでしょう。教える方も人に語ることをしてこなかったので、イメージを順序良く並べて、テキストにすることは苦手になります。
ましてや、しどろもどろで喋ってしまうことでプライドも傷がつくのなら、避けて通りたいと思うでしょう。それを辛抱した三年目には素晴らしい人生が待っているのにと、多くの先輩は残念だと、口に出して言うはずです。
今はマルチワーカーと石の上にも三年、魅力はマルチワーカーに軍配が上がるかも分かりませんね。格好良さそうな気がしませんか。きっと若い方は魅力に感じることでしょう。
だからこそ、石の上にも三年に頑張って欲しいと思います。三年後はその道を極めるプロとして活躍してもらいたいです。マルチワーカーは職人にはなれません。
自分がどの道を選んで進んで行くのか、年度の始まりです。じっくり考えて欲しいものです。
今日一日、とにかく頑張っていきましょう!