仕事柄営業や会議で使う資料を作ります。大勢の人の前で喋りながら、プレゼンなる発表を行う時には、出来るだけ情報を多く伝えようと文字がギッシリだったり、カラフルだったり、文字が動いたりと、格好がイイ風景をよく見かけます。そう言う私も作ったりしています。

プレゼン、所謂プレゼンテーションとは提示や提案のことを意味して、相手に自分自身の思いや考え方を示して共感してもらうことが前提となります。共感をしてもらうために、あるいは分かりやすく伝えるために、様々な工夫をこらして資料を作成します。

これまで色々な分野のセミナーに出てきましたので、自分が提案する際の参考になったものも沢山ありますが、その中である傾向があります。

著名な方やコンサルタントの先生は、プレゼンの資料が無い、あっても文字が少ない、地味、文字が白黒、ホワイトボードを使うと言う、昭和チックな共通点がある気がします。

カラフルで見栄えの良い資料は、分かりやすいし、先ずは見やすい。「上手く作っているな〜」と感心することもありますが、肝心な内容が腹落ちしたかは疑問に残ります。

先日も30人くらいが集まるO&O(オンラインとオフライン)の会議があって、担当の方々が夜遅くまで苦労して、PowerPointで綺麗な資料を作って発表されていました。情報量も凄くて、是非伝えたいという思いは伝わります。頑張った感も伝わります。一所懸命も伝わります。ですが、「心に刺さる提案」ということで言えば、少し足らなかった気がします。

相手が何を期待して、何が欲しいかで、こちら側が手を変える必要があります。文字と言う情報が欲しいのか、言葉の情報か、行動か、ライバルの情報か、目指す方向でも提案は全く違ってきます。残念ながら予め頑張って作った鮮やかな資料は、ある一定の目的と方向でしか作っていなので、場の雰囲気でガラッとイメチェンすることができない弱点があります。逆に決まったことを特定の人に、一方方向で伝えるには物凄い力を発揮します。

先程言った先生は、場の雰囲気で如何様でも変化できる沢山の引き出しを頭の中に仕込んでいます。目で相手を見ながら、頭の中のタンスを開けていつものパンツを履くように、イメージを言葉に変換した、強烈キーワードを入れた会話を普通に突き刺します。ここぞと言う時には、ホワイトボードでしっかり目に焼き付ける行いもされます。

“提案とは、視覚に訴えるものではなく、心に刺さる強烈キーワードを何回相手に伝えたか”

だと私は思っています。資料を見る回数より、先生の言葉や話す態度、オンラインであれば伝える姿と口調によって、情報がイメージという一つの形になって頭にしまいこまれ、心に言葉が残るものです。そのしまいこまれた形がふっと思い出されようにするのも、提案者の仕事です。

言葉を上手く話すことは天性もあるでしょうし、苦手な人もいます。資料を作った方が安心して話せる人もいます。それも正解です。その正解の回数を上げるためにも、自分の言葉で、自分が経験した体験で物事を語ってくれたら、きっと相手の心にも刺さると思います。

リアルに近づくためのO&Oが今からは必要とされる時代です。資料が沢山画面に映しだされる提案より、顔を見せて思いを語り、心に残る強烈キーワードを語ることができる提案を私は見てみたいと思います。

「全ての繋がりは提案から始まる」

今日も一日、とにかく頑張っていきましょう!