言葉の使い方で商品が売れたり売れなかったり、印象が良かったり悪かったり、あるいはその人の人柄が良く見えたり悪く見えたりと、言葉の持つ力は圧倒的です。その言葉に勇気をもらったり、不安を感じたりと、言葉を話すことでメリットもデメリットもあるのは人間だけです。

言葉と上手く付き合うと人生も仕事も楽しくなると感じています。今日は仕事で使う言葉、営業の言葉についてのお話です。

外資系の損害保険では、英語の単語を使うことがとても多いです。本当の英語なのか、和製英語なのか、はたまたインチキのカタカナ英語なのか、たまに良く分からないことがあるほどで、正しい発音かと聞かれれば全く分からない私のカタカナ英語。入社した当時は大好きだった気がします。そして気取ってもいました。人より違った言葉を発することで、人が知らないことを伝えていると言う、勘違いの不思議な立ち位置が優位だと思ったこともあります。知らない情報を知っているかのような雰囲気を醸し出そうとしていました。そう言う言葉を使う自分が、優秀に感じたり、カッコいいように思ったこともあります。特に保険はカタカナや英語に似た文字を使うので、そう言う罠に掛かりやすくなります。

ある会社の責任者の所長さんに「共同で仕事をしませんか?」と商品を持ち掛けた時の話。

「私どもの○○保険を提供することで、御社にとっても販売促進の”ツール”としてご活用できると思います」

先方とは何回かお会いして少し親しくなっていますので、気兼ねなく聞いてきます。

「ツールって何かいな?初めて聞いた。それと物が売れるとの関係性がようわからん」

と。私は商品が売れやすくなる手法、商品が売れる手段と言う意味でこのツールと言う言葉を使いましたが、そう言う単語を初めて聞いたとおっしゃいました。それから何かにつけて、ツールを教えてもらった人だと言って、冗談めいて社内の人を紹介してもらうようになりました。なんとも気不味い紹介方法で、何度がこらえて欲しいと言ってはみましたが、数年はイジられていました。

英語やカタカナ文字はフワッとした言葉の印象に陥りやすいので注意が必要です。おそらくその所長さんも前後の話を聞くと、「多分こうなんだな〜、こう言うことを言いたいんだよな〜」くらいは分かっていたと思います。その多分とか、フアっとした感じを確認したいために、あえて知らない顔をして情報収集をされたのだと感じました。

それから英語みたいな言葉をお客さんに言うことは控えるようにしています。それでなくても保険の用語は分かりにくいので、更に重なると興味が薄らいでいって、気持ちも遠のいてしまいます。

営業で話す言葉や人に物事を教える時には、日本語が一番伝わります。当たり前のことですが、今の世の中には英語やカタカナ文字が溢れ返っています。文字数も少なく使い易い反面、言葉に託した気持ちが心に刺さらずに、フワッとに変換されてしまい印象や説得力で負けてしまうことがあります。

「英語の言葉を日本語に変換してして伝える」

とても大事な営業方法です。日本語に変換するためには本来の意味を調べて、その言葉に合う日本語を自分で探さなければいけません。Google辞書なら10秒で答えが出ますが、営業用の文書を作るのはこちら側の話です。意味を知って変換して活用することができれば、言葉の持つインパクトが更に強化されるようになります。

「分かりやすい日本語が一番心に刺さる」

今日も一日、頑張っていきましょう!