モーレツ社長、モーレツ社員、昔はモーレツと言う言葉は、優秀な社員のシンボルでした。家族を守るために子育ては奥さんに任せ、会社に人生を捧げる勢いで仕事をする会社員で、近代的な言葉だと企業戦士と呼ばれることもありました。

モーレツと検索すると小川 ローザさんの若き日のCM、コスモガソリンの画像が出てきます。昔のガソリンスタンドには、この手のカレンダーが貼ってありましたが、今では不届き者と世間から白い目で見られますので、なんの変哲も無いカレンダーに変わっていきました。子供が見たから即悪影響になるとは思いませんが、時代の流れと言うことでしょう。

先日、NHKで放送された「たけしのその時カメラは回っていた」、まさに1960年代のモーレツ社員の白黒映像を観ながら、ひとり興奮していました。

全国に支店を持つ○○ベットのモーレツ営業社員の風景、壁には全国の営業数字と順位が張り出されていて、最下位のひとつ手前で営業成績がすこぶる悪い鳥取支店、電話で活を入れられることは普通ですが、社長しか知らない恐怖の秘密の軍団、「独立先攻隊」というエリート営業マンの部隊があって、琵琶湖湾で初陣式ならぬ社長の有り難いお言葉を聞く儀式で使命を与えられて鳥取支店に向かいます。

鳥取支店は独立先攻隊の存在と、いでたちに恐怖を感じながら、エリート営業軍団と競争して、何台のベットを売るかの競争が始まります。地元が負ける訳にはいかんと奮起しますが、さすが社長直属で秘密のエリート営業マンの武器は“モーレツパワー”、見知らぬ土地でだとか、言葉の壁があるとか、そんなことなんて関係ないわ、へっちゃらだと姿勢でベットを売りまくります。

鳥取支店   87

独立専攻隊  211

秘密の軍団の圧勝でした。この差は一体なんでしょうか。口が達者で喋りが上手、男前とか、ベットの商品知識が詳しいから、そんなうわべなことでは無くて、独立専攻隊としてのプライドと責任がモーレツにあって、鳥取支店の社員には負けられないと言う信念の違いです。それが強い言葉となり、お客さんとの会話で見つけた僅かなチャンスを糸口に、一気にクロージングに持ち込む勇気と会話の実行力です。

お客さんに商品を勧めるには、知識も必要ですが、ここがポイント!を神経をとがらせながら聞いて、一瞬で相手の言葉の向こう側にある興味を引き出す言葉を、こちらが打って出る必要があります。

そして興味があると感じたら、クロージングのタイミングを図ります。このタイミングがズレでしまうと、物売りのきな臭い匂いが漂い次への展開が厳しくなります。千載一遇の大チャンスですから、きな臭い匂いではなくて、安心の雰囲気、これを使えば今よりももっと良くなると言う新鮮なイメージで、迷う相手に対して負けない言葉のクロージングを語る必要があります。どれだけ自分の思いが強烈でモーレツであるか、そして言葉にその強さが伝わっているかで商売の勝ち負けは決定されます。

テレビですので面白おかしく製作されていますが、私にはもう一つのドラマが隠されていると感じました。鳥取で圧勝した独立専攻隊、社長直属のエリート軍団であればその集団での生き残りも過酷でモーレツに違いありません。211台売りさばいた営業実績でエリート営業マンの順位も明確になります。最下位の社員には叱咤激励の有り難いお言葉が社長本人から聞くことになるでしょう。「頑張れ」なのか「次は無い」のか、立場は鳥取支店と一緒といえます。そうやってグルグル回るのが輪廻転生の営業の世界です。

モーレツと言う言葉はキツいとか、厳しい、激しい、と感じとってしまいがちです。今の時代にそぐわない死語なのかも分かりませんが、協調を大事にして研修や教育を平等に提供して、働きやすい環境を作りたいと思う社長はモーレツに社員に期待しています。熱量を示すモーレツと言う自分に秘めたパワーはお互いに必要です。モーレツを上手く使って会社を成長に導いてもらいたいものです。

今日も一日、頑張っていきましょう!