私の今の本業は、損保代理店の経営と、社長向けの営業体制構築コンサルティング事業。数年前からはミャンマーの情報を集めている。
仕事柄、「会社の業績が思わしくないので、保険を解約したい」という申し出がある。様々な事情があるのは承知であるが、その前に、社長はこれまでの自分のやり方がどうだったのか、ちゃんと社員の声に耳を傾けたのか、を問いたくなる場面が時々ある。今回のコロナのように人の力ではどうしようも無いことも当然起こりうる、という前提での話だ。
業績が悪くなると社長の考え方が如実に現れる。経費の削減を口にする社長と、しんどくても決して口にせず、自分で何かを見つけるトライ&エラーに力を注ぎ、社員のために活路を見出そうとする社長だ。この違いの差は、未来を想定する違いや社員との向き合い方の違いだ。
保険は経費削減の的になりやすい。見直しと言う言葉あるが、社長と保険人が保険リスクコンサルティングをしっかりしておけば、見直しをすることは無い。するのは修正だけだ。
保険とは、会社の経営を存続するための最後の要であって、社長と社員を守り、その家族を守るものだ。あるいは全く関係ない人が会社の不祥事で事故に巻き込まれた際の、社会的責任を全うするためだ。そして保険には福利厚生という特性もあり、社員がこの会社で働いていたら安心であり、会社から給料を貰う以外で、唯一有難いと思ってくれる制度の一つだ。
社長は働いてくれる社員を有難いと思い、社員は生活を維持してくれる社長を有難いと思う。良好な相互関係を構築されていなければ、業績が下降するのは当然である。経費削減を口にするのは社長だが、それを実行するのは現場の社員であり、福利厚生が有難いと思っている側の社員である。有難いたいと思っている人が、有難いと思っている人に保険制度の廃止を知らせる。何かおかしい気がする。それを聞かされた社員は、会社が大変な時だから一緒に頑張ろう!と思う人は多くはないだろう。
社長は会社を企業した時から大海原にいる一本釣りのマグロ船と同じだ。大漁の時は社員が大慌てで魚を釣り上げてくれる。社員の働き方で魚の数が決まる。大しけになれば、船長の舵に命をあずける。お互いが有難いと思い安心と思えるから船という会社で生活ができるものだ。社長の舵一つで沈没もする。未来を見ながら足元も見てもらえたら嬉しい。