有り難い職域接種が広島であったので受けに行きました。本場のお好み焼きを食べに来たかったのも理由のひとつで、昼ご飯の楽しみにしていました。接種会場の近くを散策していたら、お好み焼きと書いた旗がゆらゆらしているのを発見、飛び込み飲食は勝敗の行方が分からないですが、美味しい店に当たったら密かに嬉しいもので、今日の運命はここ!と決めて入店しました。

注文して待つこと15分、美味しそうなお好み焼きが出てきました。これを使って食べなさいと、店主がおもむろに黒い箸を渡してきます。「コテが良いのに・・・」と思いましたが、お店にはルールとしきたりがあるので、言われた通り黒い箸で食べることに。

この店はそばをカリカリに焼いてキャベツの上に乗せるのが、こだわりのようです。期待度抜群で最初の一口を食べたいのに、カリカリのそばが生地の下にあるので、思ったように切れません。黒い箸で何とか引き離そうとするので、形が段々崩れていきます。「コテがあれば問題は解決するのに・・・」と思いながらも、この店の流儀は守らないといけません。

箸をナイフとフォークに見立てて、ギリギリ、しながら食べていくと、最後の見た目は皿うどんか焼きそばのレベルのたたずまいまで変化していました。私のイメージはコテでお好み焼きを縦に切って、綺麗な形のままで、デコレーションケーキのように食べたかったのに、現実は見るも無惨なたたずまいになりました。それでも食べてしまえば残るのは皿だけですから、悪戦苦闘の跡は残っていません。お金を支払ってお店から少し離れた所で反省会をしましたが、食べ方が悪かったのか、誰でもそんな無惨な形になってしまうのか答えは出ずじまいです。2回目の接種が1か月後にあります。再度の検証をしに再チャレンジするのか、飛び込み飲食をするのか宿題になりました。

モノが欲しい、買いたいと思う時には本人の好みがあります。人によって好みがバラバラなので、沢山の商品が出回りそれを売るためのお店や人が混じり合って経済は正しく回っています。競争原理が根っこにあって、その人が嬉しい、楽しいと思うことが当たったりハズレたりすることも、その歯車のひとつで好みであり、買う側の感覚です。

一方の商品を提供する側には、こだわりがあります。店主が他の店に負けない工夫と仕掛けを作り、それが分かってくれる相手をお客として取り込んでいきます。それは店主の好みと言っても良いでしょうから、好みとこだわりは近い存在の領域に存在しています。

しかし好みは商品を買ってくれる相手の話なので、ここをどうにかコントロールしてやらないと、“黒い箸とコテ”のようにカスってしまい、リピーターになろうか、なるまいか、運命の分かれ道がお客には生まれてしまいます。飲食なら値段を見て注文し、一口食べればクーリングオフが効かない世界です。

メニュー表やお品書き、壁に貼ってある店主の一押しが店主のこだわりだとすると、営業の世界は提案書がそれに匹敵するものと言えます。パンフレットや見積書、機械が自動で印刷した定形文字ではない、店主の味を出すことができるのが提案書となります。保険の世界では、”パンフレット・見積書・パソコンで計算された将来のシミュレーション”くらいが一般的な販売ツールといえます。それに自分の経験と想定を兼ね備えた独自の提案書を持参すれば、契約確率を上げることもできますが、相手の好みを踏まえた提案書と言う原則を忘れてはいけません。相手の好みが分からないのに、こっちのこだわりを見せつけても興味の無い人には全くもって反応はありません。あるいは自分のこだわり路線と違う方に商談しても、ビックリするくらい話が噛み合わず早々に退席に追い込まれてしまいます。

飲食は待ちの営業スタイルが基本で野球で例えるとバッターです。職人と言われたイチローでも6〜7割は打てないと言う失敗をしています。ピッチャーは攻めの営業スタイルで先に玉を持つという先行利益を有効に活かすことができます。バッターをサーベイ(S:調査)しながら、何処に投げれば何処にボールが飛ぶのか、将来が上手くいく問題の解決(S:ソリューション)を描いていきます。玉を投げながらバッターの表情や仕草で姿の会話(L:リスニング)をしながら勝負の一球を投じるまでの筋書き(S:シナリオ)を作り、ここぞとばかりに最後の一球(T:テストクロージング)に全力を投じます。これで仕留められる時と、バッターが自分を上回る性能を発揮して仕留めることができない時が起こります。そしてもう一度サーベイという調査から始まります。最悪なのはホームランで、営業で言えばお断り、終了のことです。

攻めることができる営業は相手をサーベイできること、最初にこちらが主導権を持って情報を収集して相手に提案できるというボールを手に持っていることが強みです。相手の好みと自分のこだわりを合わせる仕組みを作って提案できることが、営業にとっては最大の武器となります。

”リスクマネジメントとSSLIT”

広島のお好み焼きは最強です。バラバラになったお好み焼きでしたが、美味しいと言う大前提はきっちり押さえていました。さすがです。

今日も一日、頑張っていきましょう!