営業でモノが売れるには時間が掛かるものです。テレビやインターネット通販でバカバカと品切れになる光景を見て、羨ましいと思うこともありますが、尋常ではないお金を色んな所に払っているでしょうから、モノを売ると言う営業は本当に勇気が必要で難しいものです。

外資系の損害保険会社に入って2ヶ月経っても保険は売れませんでした。この2ヶ月終わった時が私にとっては大事な節目、次のステージに上がるための条件みたいなもので、最低1件契約しないと退場になって無職になります。心配した支店長がどんな感じか声が掛かるので、こう答えます。

「見積書も出していますし、社長には検討してもらっています。先方の都合で今月中は難しいと思いますが、来月は大丈夫です。」

と、妄想9割、本当1割のことしか言いようがありません。2ヶ月経っても見積書を渡したのは数えるほどで、飛び込みで会社に訪問したって話もろくに出来ないのに、見積書を渡すなんて夢のまた夢みたいなものです。

そうは言っても偶然が起こって応接室に通されて、人が良さそうな方なら見積書を出して良いか聞いて、「まあ見るだけなら」と気の毒そうな私を見て言ってくれるだけです。進展なんてあるはずがありません。2ヶ月経っても腕なんて全くと言って良い程上がってはいませんから、何とか会社に居座ろうと、上司には気の効いた話をするしかありません。

「そうか、来月数字が出るんだったら次の更新まで頑張ってみるか!」

と支店長は仏様に変身してくれました。これで第一関門は反則技で突破です。と言っても3ヶ月目に契約が取れると言ったので、これまた大変です。見込みなんかありゃあしませんから、いつもの飛び込みをするしかありません。会社に居てもすることも無い、行く宛も無い、見込みも無い、お金も無い、時間も無い。無い時には本当に全く無いものです。

それでも飛び込み営業と言う、「動く」行動は続けていました。相変わらずの駄目な営業で、「今日はこの辺」と当てもなく車を飛ばして、どんな会社かも全く調べずに玄関を開けます。必ず同じ言葉で

「保険だったらいらん」、と言われて

「そうですよね」、と言って立ち去ります。

そうですね、と言った自分の言葉が、モノが売れ無いことは当たり前だと自分に言い聞かせているような錯覚に陥ります。そこまで追い込まれると商材が悪いものだと思い込むようになり、最後は断れ続けることでの人格を否定されていると思ってしまいます。私が駄目だからだと。

“営業とは恐ろしい仕事”

動く努力をすると必ず変化があります。これは必ずです。変化が無い人は動いていないか、足らないだけです。

ペテン師になって3ヶ月目に突入した時に、以前飛び込み営業をしていたお客さんから電話が入りました。

「もしもし髙橋さん?。この前話していた保険に入りたいと思う。髙橋さんが帰った後に見積書をもう一回見てこれに決めようと直ぐに思ったけど、あれからすっかり忘れてて今になってしもうたわ。事故も無くて良かったわ」

本当に嬉しかったです。人生発の営業で獲得した1件目のお客さんです。でも反面こんな気持ちにもなりました。

「早く言ってよ〜。お客さんと会ったのは1ヶ月も前じゃん。(トホホ)

飛び込み営業を始めて1ヶ月も経っていない頃で、パンフレットを一緒に読み合わせた程度のお客さんでした。「もし契約出来てたら、こんなモヤモヤした2ヶ月は無かったのに」、贅沢な気持ちになって鼻も高くなっています。

営業で結果を出すには時間が掛かります。お金を持っていないのであれば、広告もメディアも使えませんから、自分の足と口が広告塔になるしかありません。行った先にしか情報は伝わらないので、コツコツ営業には時間が物凄く掛かるのは当たり前のことです。

もの凄く時間が掛かる当たり前のことを、経営者も本人も案外分かっていないものです。誰かと比較すれば誰かより早いとか遅いと言うことは普通にあります。

「結果で判断するのではなく、過程で判断することが大切です」

経験がある人、口が上手い人、要領が良い人、知り合いが多い人には、結果に結びつくのも早いものですが、短命で終わる場合もあります。時間が掛かる人でも過程を大事にして真面目に努力をしてきた人はいつかは結果が出ます。そして安定的に結果出すことが普通に出来るようになります。

それでも経営者は、「分かっちゃいるけど結果は早く出してもらいたい」、と思うのが至って当たり前のことです。

こんな駄目駄目な私でも20年以上の営業をやってきて分かったことがあります。

「営業には型がある」

と言うことです。営業の行動や流れを体系化することで、行動精度が上がり、出会うチャンスが少なくても契約率が上がるようになります。野球で例えるなら3割バッターを目指す感じです。3回に1回ヒットを打つ方法ではなくて、30回打席に立って10回の一塁ヒットやホームランを打つ方法の平均法です。それにリスクマネジメントの思考回路を絡めた営業のやり方です。

「営業体制構築コンサルティング」

何かのご縁がありましたらご相談くださいませ。

今日も一日、頑張っていきましょう!